障害年金の社会的治癒に関するQ&A
Q社会的治癒とは何ですか?
A
障害年金における社会的治癒とは、医学上、病気やケガが治癒したといえない場合でも、医療を行う必要がなくなって社会復帰しており、一定以上の期間、通常の生活を問題なく過ごすことができることが客観的に認められる場合に、認められるものです。
社会的治癒が認められると、初診日(障害の原因となった病気やケガで初めて医療機関を受診した日)は、症状が悪化した後に初めて医師の診察を受けた日となります。
障害年金において、初診日は多くの要件の基準となっているため、社会的治癒が認められるかどうかによって障害年金の支給の可否や支給額が変わってくる場合があります。
Q社会的治癒を主張した方が良いのはどんな人ですか?
A
社会的治癒を主張した方が良い人としては、①本来の初診日に通院した医療機関が廃院していたりカルテを保管していなかったりして初診日の証明ができないが、社会的治癒後による初診日の証明ができる人、②本来の初診日の前日時点では年金保険料を一定以上納めていなかったが、社会的治癒による初診日の前日時点では年金保険料を一定以上納めている人、③本来の初診日時点では国民年金加入者だったが、社会的治癒による初診日の時点では厚生年金に加入している人、④本来の初診日を基準とした障害認定日においては診断書を取得することが難しいが、社会的治癒後による初診日を基準とした場合には、障害認定日時点の診断書を取得することができる人が挙げられます。
なぜなら、障害年金においては、初診日に加入していた年金制度によって支給対象となる障害年金の種類が変わり(国民年金に加入していた場合は障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金)、初診日が保険料の納付要件の判断の基準になっており、また、障害認定日がいつになるかの基準になっているからです。
そのため、社会的治癒が認められて初診日が変わることで有利な結果になる可能性があるのであれば、社会的治癒を主張した方が良いといえます。
Q社会的治癒を主張するために必要な書類は何ですか?
A
社会的治癒を主張するためには、治療の必要がなくなったことや、社会復帰していたことを示す資料を提出することが考えられます。
治療の必要がなくなったことを示す資料としては、以前に通院していた病院等のカルテに回復した旨の記載等があれば有利な資料になります。
また、社会復帰していた資料としては、その間に就労や就学していたことを示す資料(厚生年金の加入記録等)が考えられます。
ただ、社会的治癒を主張する資料として何が適しているかはケースバイケースであり、これが必須といえるものはありません。
そのため、詳しくは弁護士等の専門家にご相談ください。