線維筋痛症で障害年金を申請する際のポイント

文責:所長 弁護士 水野高徳

最終更新日:2025年08月12日

1 線維筋痛症で障害年金を申請する際のポイント 

 線維筋痛症で障害年金を申請する際のポイントは、診断書に、厚生労働省研究班の重症度分類試案によるステージがⅠからⅤのどれに該当するかを記載してもらうことと、日常生活における動作がどれだけ不自由なのかを医師にしっかり把握してもらった上で記載してもらうことの2点です。

2 線維筋痛症とは

 線維筋痛症とは、全身の様々な部位に強い痛みを感じる病気です。

 また、全身の痛みだけでなく、疲労感や全身倦怠感、頭痛、しびれ感、睡眠障害、不安感、抑うつ感、乾燥状態、過敏性腸症候群に類似した腹部症状、便通異常、動機、めまい感、焦燥感や集中力低下、体のほてり感や冷感、微熱、むずむず脚症状などの副症状をきたすことがあります。

 線維筋痛症の原因はいまだ不明で、あらゆる検査でも異常がほとんど認められません。

3 線維筋痛症での障害年金の申請

 線維筋痛症の診断基準としては、①広範囲にわたる疼痛(疼痛の広がり)があること、②触診の際に押すと痛みを感じる場所が全身の18か所のうち11か所以上認められること、③3か月以上継続する慢性疼痛であることが挙げられています。

 また、線維筋痛症の重症度分類試案では、

 

 ステージⅠ:米国リウマチ学会診断基準の18か所の圧痛点のうち11か所以上で痛みがあるが、日常生活に重大な影響を及ぼさない

 

 ステージⅡ:手足の指など末端部分に痛みが広がり、不眠、不安感、うつ状態が続く。

 日常生活が困難。

 

 ステージⅢ:激しい痛みが持続し、爪や髪への刺激、温度・湿度変化など軽微な刺激で激しい痛みが全身に広がる。

 自力で生活は困難。

 

 ステージⅣ:痛みのため自力で体を動かせず、ほとんど寝たきりの状態に陥る。

 自分の体重による痛みで、長時間同じ姿勢で寝たり座ったりできない。

 

 ステージⅤ:激しい全身の痛みとともに、膀胱や直腸の障害、口の渇き、目の乾燥、尿路感染など全身に症状が出る。

 普通の日常生活は不可能。

 

 と分類されています。

 障害年金の申請にあたっては、医師にどのステージに該当するかを判断してもらう必要があり、ステージⅡが障害年金の3級、ステージⅢが2級、ステージⅣとステージⅤが1級に対応するといわれています。

 また、線維筋痛症で障害年金の申請する際には、肢体の障害用の診断書を利用することになり、握力や手(足)指関節の他動可動域、上肢と下肢の主要な関節の他動関節可動域及び筋力、日常生活における動作の障害の程度、補助用具使用状況、その他の精神・身体の障害の状態、現症時の日常生活活動能力及び労働能力についての欄も医師に記載してもらう必要があります。

 そして、線維筋痛症のように全身に症状が現れる肢体の障害の場合、等級の認定にあたっては、日常生活における動作の障害の程度が重視されます。

 そのため、線維筋痛症で障害年金を申請する際は、「診断書の日常生活における動作の障害」欄に記載が必要な各動作について、具体的にどのような不自由があるかを、あらかじめ診断書を作成する医師に十分伝えておく必要があります。

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